BYD「RACCO」はヒートポンプ非搭載、バッテリーのプレコンディショニングが問題?
BYD「RACCO」遂に発売

令和8年7月29日に発売されたBYD「RACCO」ですが様々な話題が出ています。
「販売台数の錯綜」
「サクラを超える航続可能距離」
「バッテリー露出問題」
今回、RACCOは1週間で100台を売り上げたという事でBYD製の電気自動車としては好調な滑り出しと言えるかもしれません。ただ納車後の一般人のレビュー数が少ないことや冬季の航続可能距離が未知数なこともあり、スペックに魅力を感じていてもいざ購入となると不安を感じて足踏みをしている人達も多いと思います。
正直、私もその意見には賛成です。いくらカタログスペックが良くても信頼性やサポート体制に関しては全くの別物でそれら全てを含めて車の評価と考えています。
冬場の不安に関して
電気自動車が一番心配すべき季節は「冬」です。

冬場はバッテリーが冷えることでバッテリーが本来の性能を発揮できないこと、ガソリン車と違い暖房は電気自動車の航続可能距離を大きく縮めるという特性があります。
初代日産リーフは「ヒートポンプ非搭載」

日産リーフは2010年に発売されました。初期型と言われる2010年から2012年に作られた日産リーフは暖房の方式はPCT方式だけでした。しかし冬季の暖房が著しく航続可能距離を縮めるという結果になった為、2013年からの中期型からはヒートポンプが追加されることになりました。
今でも初代日産リーフを中古で購入する際は初期型は鬼門とされています。それはただでさえバッテリー容量の少ない初代リーフの航続可能距離がさらに短くなってしまうからです。
初期型リーフも航続可能距離が200km→130kmまで減ってしまった経験を持つドライバーが多いのでRACCOも発売前からヒートポンプの有無に言及されていました。
「RACCO」がヒートポンプ非搭載の理由
日産サクラを参考にしたのであればヒートポンプを搭載してもおかしくないと思いますが、当然ながらヒートポンプを搭載することで車体価格が上がってしまいます。
その為、ヒートポンプ搭載を諦め車体価格を下げることを選択しています。

補足ですが、ホンダのnvan:eも全グレードでヒートポンプが非搭載です。
NVAN:e 公式サイト
https://www.honda.co.jp/N-VAN-e/webcatalog/performance/?from=car_header#ecology
しかしバッテリーの上下に余裕を持ったバッファーを持たせることで突然の電欠を防ぐような極端なバッテリー残量の変動を防いでいると考えられます。
制御の難しいバッテリープレコンディショニング
外気温低下によるバッテリー性能低下は電気自動車の課題の一つです。
外気温が下がりバッテリー温度が下がることで
●充電速度の低下
●バッテリー消費の増加
など様々な問題が発生します。それを防ぐ為に最近の電気自動車にはバッテリープレコンディショニングという機能が備わっておりバッテリーを適温(約20〜30℃)まで温めます。ただこの制御方法はメーカーによって全く違うようです。
BYDの場合はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載している関係で常時プレコンディショニングがONになっておりバッテリーのダメージを防ぐ為に切ることができないという記事を見ました。
※リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)は長寿命と安全性を持っていますが、氷点下で充電すると内部短絡や永久劣化を招きます。
寒さが厳しい北の地域の場合、バッテリーの余裕がある状態で車中泊しようとしてもPCTヒーターとプレコンディショニングのW消費で最大1時間当たり8kWh(5kWh+3kWh)という電力消費が発生することも考えられます。
とはいってもBYDも長期のバッテリー保証を謳っている為に氷点下での急速充電を許し保証によるバッテリー交換頻発させる危険を招く設定はしないはずです。
このあたりの制御や考え方、対応速度もメーカーと車の評価につながる部分だと考えます。
バッテリーのバッファーという考え
電気自動車のバッテリーは過放電や劣化を防ぐために安全を考慮したバッファーと言われる領域が存在します。そのバッファー量はメーカーによって様々ですがnvan:eの場合は
バッテリー総容量29.6kWhですが上下合わせて約26%(約7.6kWh)のセーフティバッファー(予備領域)が確保されており、実用可能容量は約22kWhと推定されています。
日産サクラの場合は約10%で約2.5kWh、日産リーフ(40kWh)の場合は2kWh程度がバッファー容量と言われています。RACCOに関してはバッファー量が明らかになっておらず想像もつきません。ただ現状の航続可能距離のレビューを見る限りはバッファー容量は1%もないような気がします。
バッファーの上の部分は満充電しても実は100%充電されていないので満充電によるバッテリー劣化を防ぎますし、下のバッファー部分は0%になってもしばらく走ることができます。このバッファー部分があることでバッテリーの劣化を防ぎやすくなりますが、航続可能距離が短く見えてしまうのが欠点です。見た目だけこだわるのなら1%もいりませんが、安全を考慮すると必要な部分です。
これらのことを考えると新型の電気自動車は発売からすぐに評価を下すのではなく最低1年~3年(初回車検)まで待つほうが無難だと考えます。
冬場にこそ電気自動車の真価が分かる。
冬場のPCTヒータによる電費の悪化、バッテリープレコンディショニングによるバッテリ―消費。またバッテリーのセーフティバッファーの容量によりどれほどの差が生まれるのかは不明です。

私は仕事の関係上、韓国や中国からはいってきた機器が仕様書通りでないこと、
保証が約束通り行われないこと、都合が悪くなると担当者を変えて逃げるなど身に染みて分かっています。さすがにBYDのような世界的なメーカーであればそんなことはないと思いますが、全ての部品をBYDが作っているのではなく部品を集めて作っているのでチェックが甘ければ不良品が続出します。
RACCOへのパッシングは単なる誹謗中傷などではなく仕事で中国や韓国の部品を扱っている人などの体験を元に行われているのではないかと思っています。
品質基準、検査体制、安全基準それら全てが国産メーカーと比較して同じ土俵に乗れることが分かってから初めて本当の競争になるのでしょう。
BYD「RACCO」が騒がれてるうちに新たな軽EVの発売が決まっています。それは国産軽自動車で強いシェア率を誇るスズキが2026年秋、ついに軽EV「e SKY」を発売することになりました。
e SKY公式サイト https://www.suzuki.co.jp/car/esky/
バッテリー容量は26kWhですが、徹底的した車体の軽量化など効率化を行い航続可能距離310km(WLTCモード)を実現したという事です。急速50kW充電、普通6kW充電、ヒートポンプ搭載ということで車の基本機能の王道を全て押さえています。
搭載されているバッテリー容量も抑えていることから仮に価格が200万円でCEV補助金が軽自動車最大の58万円になるなら、実質価格は142万円と大きく200万円を切ること可能性があります。
軽EVへの乗り換えを考えている人にはこちらが本命になるかもしれません。
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