関越道の立ち往生でEVだと凍死していたというデマについて
関越道の立ち往生について
新潟、群馬県境付近の関越自動車道の上下線で、大雪により最大時約2100台の車が立ち往生した問題です。12月16日午後6時ごろ始まり、18日の午後5時くらいまで通行不能になり立ち往生は最長52時間にわたったというものです。
EV(電気自動車)なら凍死していた?
いろいろなニュースサイトではこの2100台の中に電気自動車は1台もおらず結果的に誰も死ななかった!EVが含まれていたら凍死していた!というような記事を多く見かけました。今回の立ち往生で様々なサイトがこの問題についてそれぞれの考察を記事にしています。
関越道の立ち往生で顕在化! 緊急時にEVに求められる「命を守るための基準」
参照サイト ベストカー
参照サイト Yahoo
大雪の関越道で大渋滞は何故起きた?電気自動車時代の課題が浮き彫りとその対策方法は
参照サイト MHO ENGINEERING
たしかにEVは雪に弱くヒーターに関しては電力を喰うので苦手と言っても過言ではありませんが、ただEV=電欠で危険 というのはあまりに底の浅い話だと思います。
ガソリン車とEVのヒーターの違い
ガソリン車の場合
エンジンをかけておくことで、エンジンが暖まるので、その熱を利用して暖房に使用します。暖房の為に燃料を余分に使わないという考えだと思います。
たしかにその通りなんですが、今回のように雪が降り続けている状態でずっとエンジンをかけ続けた場合に雪でマフラーがふさがった場合は危険です。車内に一酸化炭素が充満して死亡する可能性が出てきます。それを避けるために定期的に外に出て車の周りの雪をよける必要が出てきます。そして走り続けているわけではないので熱効率は悪く1時間に1ℓ程度のガソリンを消費すると考えられます。
EV(電気自動車の場合)
EVはエンジンのように熱を持つ部分を持たない為、暖房を使うためには電力を使って熱を発生させる必要があります。その為、1時間に1kWhほどの電力を消費してしまうと思います。電気自動車は急速充電器だと80%までしか充電できないこと、0%まで使い切ることができないこと、高速に乗るまでに電力を消費していることを考えると10時間ぐらいしかヒーターを使うことができない可能性があります。確かにこれだと凍死の危険が出てくるかもしれません。しかし電気自動車にはほとんどの車種でシートヒーターが装備されているはずです。もともと暖房が苦手なEVには冬も効率的に運用できるように消費電力の少ないシートヒーターというものが全座席に装備されています。このシートヒーターの消費電力は非常に少ないのでそれだけであれば60時間以上は持つと思われます。それを考えるとEVだから大雪の高速道で命の危険がすぐにあると考えるのは早計だと思われます。マフラーが詰まって一酸化炭素中毒の危険性もないのでガソリン車に比べるとそういった部分も安心です
しかしEVで大雪に閉じ込められた際に心配なことはいくつかあります。
EVが大雪で心配なこと
燃料の問題
今回、一番言われていることですがガソリンの場合はすぐに携行缶などですぐに補充できますがEVの充電はそんなに簡単ではないので、ある程度余裕を持って充電しておく。
暖房について
ヒーターをつけっぱなしにすると電力消費の問題があるので、大雪などで走行不能になった場合はシートヒーターに切り替えるなどの注意喚起を行う。
毛布などの常備
シートヒーターだけではやはり少し寒いかもしれないので毛布を常備しておけば、シートが温かいので快適に過ごせます。またシートヒーターは必要に応じてON/OFFしても効率は悪くないのでさらに長時間しのぐことができます。
今回もしもEVが立ち往生に巻き込まれてしまった場合
やはり長時間の立ち往生が予測される際には、シートヒーターに切り替えるという案内をするべきだと思います。これが早ければ早いほど無駄な電力を消費することがなくなり長期時間に渡り車内環境を維持することもできますし電欠による脱出不可能状態を防げます。今回ガソリン車でもマフラーが詰まらないようにドライバーが除雪をしていたようなので、ドライバー間での情報伝達はできていたようなのでこれは可能なはずです。
防寒具の配布。やはり毛布なども必要に応じて配布の必要はあります。
今後の話ですが、やはり充電可能な救援車はある程度、行政が持っておくべきだと思います。やはりこれからEVに移行していくのは仕方がないところですし今後の為にそういったインフラは整えていく必要もあります。
まとめ
今回は少し前にトヨタの会長がEVに対して懐疑的な意見を述べていたことで、今回の事件をきっかけにメディアや一部の人たちはEV叩きに加担したような気がします。
たしかにEVは製造時の二酸化炭素の問題、使用する電力が火力発電などいろいろと矛盾した問題を抱えているのは事実です。しかし世界がEVに脱炭素社会に舵を切っている以上、そこを無視してしまうと世界の産業から取り残されてしまいます。
トヨタの会長が指摘した様々な問題は、理想を現実にする為に絶対に必要なハードルだと思います。今後のことを考えるとこれは日本という国が一丸になり取り組み産業として成立させるべきではないでしょうか?
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