最初に:電気自動車の性能向上
このブログを立ち上げた当初は自宅に充電設備を設置しない限りは電気自動車を購入するべきではないと自論を書いていましたが、ここ数年で電気自動車のバッテリー容量及び充電性能が著しく向上しており自宅に受電設備が必要ないレベルなのでそれについて記事にしていきます。
発売されている国産の電気自動車について
ここ数年で発売されている電気自動車は基本的にバッテリー搭載量が多く、受入充電電力も以前に比べて大幅に上がっています。
バッテリー搭載量および受入充電一覧表
メーカー | 車種 | バッテリー容量 | 急速充電対応 | 普通充電対応 | 発売時期 |
日産 | サクラ | 20kWh | 30kW | 3kW | 2020年~ |
日産 | リーフ(AZE0) | 24kWh | 50kW | 3kW | 2011年~ |
日産 | リーフ(ZE1) | 40kWh | 50kW | 6kW | 2017年~ |
日産 | リーフE+ | 62kWh | 100kW | 6kW | 2019年~ |
日産 | アリアB6 | 66kWh | 130kW | 6kW | 2024年~ |
日産 | アリアB9 | 91kWh | 130kW | 6kW | 2024年~ |
トヨタ | bZ4X | 71.4kWh | 150kW | 6kW | 2023年~ |
ホンダ | Honda e | 35.5kWh | 100kW ??? | 6kW | 2020年~ |
※年式やグレードによって差がある可能性があります。
アリアやbZ4Xなどはここ数年で発売された新しい車種になります。一般的な電気自動車の登場初期に比べてバッテリー容量が3倍以上のものの出てきており、それに伴い受け入れ充電能力も大幅に向上しています。
一部例外として日産サクラは2020年に発売された比較的新しい電気自動車ですが、軽自動車EVというコンセプトもあり比較的少ないバッテリー容量、低い受入充電となっています。
バッテリー搭載量と受入充電について

バッテリーの搭載量によって最大航続可能距離が決まります。

例えば大阪駅から東京へ行こうと思った場合約500kmほどあります。バッテリー容量が66kWh搭載の日産アリアで電費が1kWあたり7kmの場合だと電力が0%になるまでに462km走ることができます。しかし日産サクラのように20kWhのバッテリー搭載量だと140kmしか走ることができないということになります。

ここまでは電気自動車を知らない人でも簡単に想像ができると思いますが、バッテリー残量が少なくなった場合には途中で充電する必要があります。
日産アリアの場合、受入電力が130kWなので30分あれば65kWh充電することができるのでほぼ満充電することができます。しかし日産サクラの場合は受入電力が30kWなので30分充電しても15kWhしか充電することができません。
一度充電して再出発した場合、日産アリアは同じく462km走行することができますが、日産サクラに関して今度は105kmしか走ることができません。長距離を走る場合にはバッテリー容量と受入充電がいかに重要かが分かると思います。

※実際にはバッテリー温度、外気温などの要因や、満充電に近づけば電流値も下がる為にこういった計算にはなりませんが分かりやすくする為にこういった計算を行いました。写真はAZE0です。50kWに対応していますが61%の時点で12Kw程度まで落ち込んでいます。
受入充電は走行コストに大きく影響する

自宅で充電する場合は時間帯や契約によっては1kWあたり40円と電気代がかかることになります。自宅の普通充電器(3kW)で8時間充電した場合、24kWh充電され費用は960円になります。しかしこれは自宅の場合であちこちに設置されている急速充電器のほとんどは充電量ではなく充電時間に応じて課金されます。
先ほどの計算で行けば日産アリアが30分で充電できる充電量が65kWだった場合に比べて日産サクラは15kWしか充電することができませんでした。
日産アリア 65kW×40円 2560円
日産サクラ 15kW×40円 600円
時間単位の従量課金であれば差が出てしまうことになります。
これは理論値なのでここまでの充電はできませんのでご注意ください。
正直30分でここまで充電されてしまうと充電器の設置側にメリットがありません。また大出力の充電器であっても電気代だけでなくバッテリーの発熱抑制の為にも充電制御が入るところが大多数です。
電気自動車の充電プランについて
日本で一般的な充電カードは日産のZESP3だと思います。乗っている車のメーカーの制約なく契約することができ、あちこちにある充足充電器及び普通充電器を使用することができるからです。
日産ZESP3プラン 公式サイト https://www.nissan.co.jp/EV/CHARGE_SUPPORT/ZESP3/

これが2025年4月時点でのZESP3の価格です。ZESP3のプレミアムプラン100で600km以内と目安が記載されています。ちなみに日産ディーラーの充電器のほとんどが90kWなので30分あれば45kW充電できます。100分あれば150kW充電できることになります。
150kW×40円で計算すると6000円と自宅で充電するよりも安価です。ましてや90kW以上の充電器が使用できるのであれば更にお得なという意味不明な状況になってしまいます。ちなみに日産サクラの場合だ100分で50kW。つまり2000円ということで急速充電器のほうが割高になります。
つまり大容量で受売充電が大きな電気自動車であれば、自宅で充電するよりもお得に充電することができるという結果になり自宅への充電器設置は不要となります。
実際に深夜に日産ディーラーで充電している時に私のリーフが20Aしかでていないような状況でも日産アリアが65%充電できているにもかかわらず200A以上で充電されているのを見ると搾取されている気がしてしまいます。実際に旧型リーフを充電器に接続した直後だと私の日産リーフに100Aほど出力されている時は日産アリアも100Aほどになっています。しかし私の車への出力が落ちていくにつれ日産アリアの出力が上がっているのを見るといつも悲しくなります。
※90kWの充電器の場合、一方が使用されている場合は45kWづつの充電配分になります。
大電力急速充電器について不安なこと

ただ一点思うことがあるとすれば急速充電器が90kWだった場合、1台だと90kWを独り占めで充電することができます。しかし後から電気自動車がきて充電を始めた場合は45kWづつの2等分です。

これってガソリンに例えれば1ℓ140円のガソリンを入れているつもりで突然1ℓ280円に値上がりしたようなものではないでしょうか?今後、先に充電していたドライバーが後から来た人に文句を言って充電させないということになるのではないかと心配しています。
まとめ:自宅に充電器不要な電気自動車時代について

色々と説明させていただきましたが、以前と比べて自宅への充電器設置が必須ではなくなってきていることを理解していただけたでしょうか?
現状でガソリン税、走行税の検討など電気自動車の普及について現実に制度が追いついていない歪な部分があると思います。しかしそれが現時点で電気自動車のメリットでもあります。それでもこの状況は数年は変わらないと思うので大容量バッテリー、受入充電能力の大きさがメリットになることを知っていただけたと思います。もしもこれから自宅に充電設備が設置できなくても、電気自動車を購入しようと悩んでいる人がいればこの記事を参考にしていただければと思います。

メディアでも電気自動車がどれだけ進化してもネガティブ面を強調したり、乗ってもいないのに非難する車の批評家がいます。彼らの多くは車メーカーや石油業界がスポンサーであったり試乗車の貸出を受けたりなど深い関係がある為、そちら側に配慮した記事を書かざるを得ない時もあります。そして日常的に考えるべきガソリン代や燃費や消耗品などについては無関心な面があると私は思っています。しかしだからこそ自分でしっかりと調べたり、実際に電気自動車に乗っている知人の感想を聞くことが重要だと思います。
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